この床には実は大きな特徴があり、左写真の奥と手前の、異なる床高さの建物の接合部でした。床高さの異なる建物を繋ぐため、この建物では「勾配床」という手法が選択されていたのですが、昭和の初め頃まではもしかするとオシャレだったのかも知れませんが、使いやすさを考えれば段差を出してしまった方が無難です。
あえて一段、段差を付けて、その部分を台所の間仕切りとして区分します。
厳重に水平を出し、ピッチを詰めた根太が並べられます。
仕上がりの床には、いかにも「リフォームをやりました」という安っぽさや味気なさも無く、古いながらも美しい清潔感があり、しかし構造的にはピアノも置けるという、すばらしい仕上がりになりました。
写真奥に見えているのが「引き込み」という半屋外の機能であり、右側に見えているのは普通の床面を大胆にくりぬいて風呂場を作っているところです。
旧来、このなんでもない広いリビングという機能だった場所を、「重量物対応の書庫」「台所」「書斎」「脱衣所」「風呂場」という機能に変更しています。それらの経緯はまた別な記事に書きたいと思います。
大がかりな間取りや機能の変更に対して、木造建築は他の構造よりも非常に自由度が高いです。