繰り返しますがこの記事は、契約の解除など、一切推奨しておりません。不動産の売買契約は、お互いに慎重に、じっくり検討した上で、購入申し込みや売却の承諾がなされなければなりません。ただし、不幸にもそうならない仲介態勢が決して少なくないことも事実です。そんなときに、思い出していただければ良いなと考えながら記事をまとめています。
不動産の取引は、引き渡しまではいつでも止めることが出来るのです。
以上を大前提として、もう察しのいい方はもうお気づきのことがあるでしょう。
(3)の時点で、この不動産を7,000万円で購入したいという別な買主が現れた場合です。契約の解除権は当然に認められた権利ですから、相手方に600万円支払って、高額買主と取引をすれば良いのです。これが(2)の時点であれば、6,500万円でも良いかもしれません。
買主は可愛そうではありません。売買契約書を作成しただけで、300万円なり600万円を労せずして受領できるのです。貯蓄しようと思ったら大変ですよね。その費用から必要な仲介手数料支払いを済ませても、積みました予算で、今よりももっと良い不動産を購入できるか、あるいはぐっとローンが軽くなるのでは無いでしょうか。
「それでも欲しい土地が買えなかった買主は可愛そうだろう」
そんな事はありません。なら最初から値切ったりしなければ良いのです。この買主が200万円の減額交渉をし、6,000万円の価値しか無いと考えた同じ不動産に、別な方は7,000万円の価値を見いだしました。
それはもう、商取引に単に負けたと言うだけのことでしょう。でも大きな手土産がありますから、この経験を次の取引に活かされることを私も期待することと致します。
…という様な状況ですから、解除されたくない場合の条件設定は、手付金600万円(10%)、違約金20%(1,200万円)等々の設定とすれば良いのです(という風に当社では提案して調整するように努めています)。
ただし非常に重要な注意点です。
不動産の売買契約というのは、基本的に売り主と買い主の権利を公平に認めた内容となっています。ですから、相手が契約を解除したり違約した場合には高額に費用支払いを請求できますが、自分の側に止めざるを得ない状況が生じてしまった場合にも、同額の支払いを請求されることになります。
この点は慎重に、専門家と検討の上で設定する必要があるでしょう。