ところで銀行というのは極論すれば金融庁だけを見ています。ですからここで早速ポイントですが、要するに賃貸アパート事業においては、お上が何を考えどこを見ているかを想像して対処していく必要があるのです。
10年前と5年前で、金融庁がまず大きく方針転換したのが、いわゆるサラリーマン大家さんに対する貸し付けの厳格化でしょう。「楽して儲けるのはいかがか」と警鐘を鳴らし始めたのです。確かにソコは金融庁の観察通り、賃貸アパート事業はよほど低次元でひどい組み立ての場合(農地の真ん中等、立地を全く無視したようなものの場合)を除き、最低限の利益は借り上げ保証等により、勝手に出てくるように出来ている場合が多いです。
金融庁が問題視したのは、1棟目で味をしめたソコで話が終わらずに、2棟目、3棟目、転売利益確定、更に法人化して棟数拡大~短期譲渡回避による転売速度アップ等々、歯止めの掛からない事例が目に余るほどの数、展開されたからでしょう。中には仕事を辞めてしまい、本来の労働を放棄する等、確かにいかがなものかというケースの報告も多数ありました。
ソコで銀行はこうした「投資案件」への市中銀行貸し付けを強く締め付けたのです。
現在は、金融庁ににらまれずに銀行が融資できる賃貸アパート事業のパターンは、弊社の船橋や川崎のような、「相続対策」という「形」が王道になっているのです。「形」と書いたのは、実際、相続税が高額で支払えないという状況である必要まではない場合も可能性があるということを言っているのであって、ここが事業者の上手な作文や銀行の当月の事情などによって左右されると言うことになります。