銀行の好む賃貸アパートオーナー 2021

投稿者: | 2021年12月31日

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5年前までのトレンド

概ね2015年以前の銀行の融資判断は、「資産家」と「高収入のサラリーマン」に偏っていたと言って良いと思います。つまり昔は賃貸アパート事業は「金持ちの特権事業」という側面があったのです。

 

特権事業であれば、まずは新規参入が非常に難しいですから、当然に温んだ体質の業界となり、事業主である地主に事業主の自覚が無かったり、そこから受注をしている管理業界にも健全な競争が無く、仕事の内容が世間一般の常識から逸脱したものになっていてもなんの不思議もありません。

 

当時、それでも無理矢理、賃貸アパート事業に参入しようとした普通の人たちは、どうしても無理をせざるを得ませんでしたから、自分たちに出来る事業として、ワンルームマンションや木造二階建て住宅、極端に築年数の進んだ老朽化アパート等々に投資せざるを得ないという状況が多かったのでは無いでしょうか。以上全て一般市中銀行からの健全な融資が受けられる限界が定めた、投資限界ラインと言っても良いでしょう。

 

要するにこうした個人にとっては大がかりな「事業」というものは、昔から「銀行次第」の側面が拭えなかったのです。

最近のトレンド

ところで銀行というのは極論すれば金融庁だけを見ています。ですからここで早速ポイントですが、要するに賃貸アパート事業においては、お上が何を考えどこを見ているかを想像して対処していく必要があるのです。

 

10年前と5年前で、金融庁がまず大きく方針転換したのが、いわゆるサラリーマン大家さんに対する貸し付けの厳格化でしょう。「楽して儲けるのはいかがか」と警鐘を鳴らし始めたのです。確かにソコは金融庁の観察通り、賃貸アパート事業はよほど低次元でひどい組み立ての場合(農地の真ん中等、立地を全く無視したようなものの場合)を除き、最低限の利益は借り上げ保証等により、勝手に出てくるように出来ている場合が多いです。

 

金融庁が問題視したのは、1棟目で味をしめたソコで話が終わらずに、2棟目、3棟目、転売利益確定、更に法人化して棟数拡大~短期譲渡回避による転売速度アップ等々、歯止めの掛からない事例が目に余るほどの数、展開されたからでしょう。中には仕事を辞めてしまい、本来の労働を放棄する等、確かにいかがなものかというケースの報告も多数ありました。

 

ソコで銀行はこうした「投資案件」への市中銀行貸し付けを強く締め付けたのです。

 

現在は、金融庁ににらまれずに銀行が融資できる賃貸アパート事業のパターンは、弊社の船橋や川崎のような、「相続対策」という「形」が王道になっているのです。「形」と書いたのは、実際、相続税が高額で支払えないという状況である必要まではない場合も可能性があるということを言っているのであって、ここが事業者の上手な作文や銀行の当月の事情などによって左右されると言うことになります。

銀行が好む賃貸アパートオーナー 「2021年版」

最初に再度断りますが、このプロフィールは毎年変わっていくと言っても良いくらい始終変わります。確定している要素は「相続」というキーワードくらいでしょうか。

 

3年前ならアパートオーナーになる事が出来たプロフィールの方が、今はどこの銀行からも融資が全く受けられないと言うことが頻繁に起こります。実際、10年前は「年収2千万」は大きなアドバンテージになったのですが、今は融資通過後に金利を左右するファクター程度にしか成らない場合も少なくありません。

 

ともかく、ここで問われるのは一般論として以下のような条件だろうと思います。

A:自宅を含む土地  首都圏なら100坪程度、地方なら300坪程度

 ・・土地を保有していなくても、タイミングにより可能

B:定職があり年収200万以上が一つの目安

 ・・ただし農家がベストで、その場合、親の扶養でも可能

Aが割と重要な条件で、Bはその付随条件的な扱いになってきているでしょうか。これは10年ほど前には全く想像も出来なかった条件であり、銀行評価における年収の重要性は3年前に比べて、かなり大きく下がってしまいました。それくらい、「今、何が求められているか」に注視する必要があるのです。

高年収の効果

ともかく、借りられないことには話が始まらない賃貸アパート事業ではありますが、そうはいっても高年収がマイナスになる事などは勿論ありません。銀行からの借り入れ組み立てが整った後の、金利折衝では大きく役に立ちます。高年収は当然に返済の確実性に繋がりますので。

 

今時の年収の評価は、数年前の、貸すかどうかの判断に影響するようなことでは無くなりましたが、金融庁の手前、貸せないだけで貸したいのが銀行の本音であることに変わりは無いのです。だから、貸せるとA条件で作文が組立てば、金利条件が1.2%→1.0%等、有利になるような傾向はある様です。これも怖いので、「今ならばまだ」と言っておきましょう。

 

来年どういうことを言い出す銀行が出てくるか、ソコはチョット想定で動くのは危険というもので、随時先回りして審査を実際に受けることがもっとも安全な道と言えると思います。

 

出来るときにやるというのが今時の賃貸アパート事業ということになっているのです。

―不動産業界の常識を疑え―

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