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「きっちりピッタリ、計算通り」の借入総額が最も危険

余っている分には、いつでも自由に、好きに返せます。しかし足らない場合はデフォルトです。

銀行側に全額一括返済の請求権が発生します。

 

これ程、見合わないリスクを、なぜわざわざ多くの人が冒すのか。

 

正しい資金計画(や調達計画)は、必要な支出項目を安全側安全側に、大きめ大きめに積み上げて、それでも更に何かあると困るので、500万程度の予備費など、あえて余分に借り入れて余らせておくものです。

 

ありもしないリスクを自ら作り出して、限界を攻める人が、全く分かっていないと思うのは、支払金利の額とリスクの大きさのバランスです。

 

総事業費2億の事業で1.5億を元利均等1.25%で30年借りる場合、500万も多めに余分に借りても一月の支払い金利の増額分はたったの、2,770円程です。これを結局使いもせずに、あれこれもたもたと無駄にして、ようやく9ヶ月後くらいに返済したとして、25,000円の余計な金利支払いです。

 

むしろ500万が総事業費2億に対していかに小さいかを明晰に理解して、でもその500万が万が一にも不足した場合、自己資金で既に拠出している5,000万に加えて更に追加投入できない場合、最悪請求されるのは金利分の25,000円等々の桁の金額では無く、2億です。

 

それが支払えなければ自宅、他の土地、他の資産、全てに請求が及ぶ可能性があるという事を、良く認識すべきです。馬鹿げた計算をするから、自分が作り出してしまったリスクなのであり、しっかり多めに調達しておけば考慮する必要すら無いことです(当社提案ならば、完全にゼロリスク)。

 

なぜギリギリの借入を、さして確定的でも無い資金計画に基づいて攻めようとする人が多いのか。

当社では大変理解に苦しむところです。

足らない分は自己資金

前項で少し触れましたが、賃貸アパート事業の資金調達計画というのは、総事業費-借入可能金額=自己資金という算式が最近では一般化しています。

 

つまり、銀行が貸せば(貸してくれさえすれば)、 “誰にでも” 出来てしまうのが賃貸アパート事業と言っても過言ではありません。

 

ただし逆に、必要な総事業費に対して、銀行が貸してくれる金額以外は、全て自分で集めなければなりません。ですから事業では、土地を購入してから設計を経て、数ヶ月の建設期間の間、発生することが考えられる、ありとあらゆる支出項目をあげつらい、全ての資金を最初にしっかり準備しておく必要があるのです。

 

全てを最初にしっかり準備しておくと言うことが、賃貸アパート事業の大きなポイントなのです。

代表例を支出時期順に表記すれば、以下のようになると思います。

 

(1) 土地購入費用関係

(2) 建物建設費用関係

(3) 諸費用

(4) 最後の最後の要が予備費

土地購入費用関係

言わずと知れた賃貸アパートの用地取得資金です。当然に不動産仲介手数料や所有権移転登記費用、公租公課の精算資金、数ヶ月後には不動産取得税という少し大きな課税もあります。

 

また、土地によっては安価な代わりに造成や擁壁等々、いわゆる地ならしが必要な場合や、地盤改良費などが掛かる場合もあります。

 

前項で考えられる全ての項目と言ったのはこういう事で、これら全てを、事業着手前に明らかにして、必要な資金を調達して、準備したお金で全てを順番に支払いきれるようにしておきます。

建物建設費用関係

建物は大まかには本体工事と言われるものと、付帯設備などの給排水管、電気、ガス、什器備品などに分けられます。

 

これら費用も事業着手前に全ての項目を明らかにして、必要な資金を調達しておくのですが、土地に比べてどうしてもオーナーの気持ちからも変更追加が出やすい項目です。少しでも良い建物にしようと思うと、当初予定のクロスよりも贅沢なクロスを貼ってしまったり、誤差の出やすい部分でもあるのです。

 

全てを最初から決めておくと言っても、建物の完成は目に見えて、日を追う毎に仕上がってくる訳ですから、更にもう少し、何かやりたくなると言う誘惑は出てきます。そういう時のためにも、予備費があると良いですね。

諸費用

本稿では普段、あまり詳しく解説している資料を見かけない諸費用について、少し細かく書いてみましょう。

建物の表示登記、印紙税、 “期中利息、据え置き期間金利、銀行事務手数料“ 、火災保険、その他諸費用等々、これらも全て予め支払用の資金を準備しておきます(先に借り入れておきます)。

 

とても多くの方から賃貸アパート事業では、建物は着工しても完成までに半年~1年かかるのだから、その間、家賃も入らないのにいつから銀行返済は始まるのか、いきなり返済できなくなったりしないのかという質問をいただきます。

 

これまでの項目でも「必要な支出の全て」と繰り返し書いてきたと思いますが、ここも同じです、

 

銀行の返済は「元本」と「利息」がある事はお分かりかと思いますが、まず最初に銀行は元本の返済を賃貸アパート事業が軌道に乗るまでの間、見合わせます。金利だけを返済する期間を設けます。それが「期中利息」と呼ばれるものであり、最初に銀行から借りたお金で建物工事期間中の銀行への金利支払いが、全て滞りなく出来る様に計算されています(計算された金額を先に借りています)。工事期間中はこれで安心です。

 

ここで賃貸アパートに借り上げ保証を付けてしまえば、どれだけ空室があろうが、借り上げ事業者から毎月定額の家賃が支払われますから、銀行の元本を含めた返済がいつ始まろうと心配ありません。しかし普通の賃貸アパートは完成後に入居者を集めなければなりませんから、そのリスクを更に予め見込んでおく必要が出てきます。それが「据え置き期間金利」というもので、多くの事業では三ヶ月程度見ています。

 

入居が進むまでの間に銀行に返済する原資を、予め事業着手時に、その銀行に返済できるように、その銀行から先に借りておくのです。

 

これに更に、こうした事務を銀行にやってもらうための「銀行事務手数料」も掛かりますが、これも最初に、銀行に支払えるように、その銀行から先に借りておくのです。

 

つまり、きちんとした事業では、必要なお金は、家賃も入ってこないのに、将来いずれ銀行に返済をする「事になる」金利分の返済原資まで、先に計算をして、まとめて返済先の銀行から予め借りておくのです。

 

「自分に返させる分を先回りして計算して自分が貸し付ける」というのは、読んでみると、「ソコまで貸すか!」という感じでしょうが、面白い仕組みですよね。でも安全です。

 

同質のコンセプトで行けば、「据え置き期間金利」の三ヶ月で入居できるのかが心配ならば、五ヶ月等々の延長交渉に応じる銀行もたくさんあります。上記の通り、銀行は、その分の返済予定となる金利分を計算して、先に貸し付けるので、利益が伸びるだけのことだからです。もっとも、事業が健全であるのなら、銀行返済は賃貸アパートの半分程度が埋まれば十分に可能になるので、最初に決めた通りのスケジュールを粛々と進めていけば、自然に必要な賃料が入り始めて、銀行への返済が滞りなくサイクルに落ち着く事になるというのは、当社の多くの事業実例をご覧いただいている方はよくご存じの通りです。

最後の最後の要が予備費

さてさて。総事業費2億円の賃貸アパート事業における、たった2.5%に過ぎない500万の予備費の存在感が非常に大きなものであることは、十分にご理解いただけたと思います。

 

これは本当に大げさでは無く、銀行デフォルトを食い止めるほどの力を発揮する場合まであるのです。

 

ご自身でいきなり500万と言われてもいつでもすぐに準備できる方は別として、短絡的に月2,500円の金利惜しさに必要な借り入れ金を削ろうとするのは “愚行” 以外のなにものでもありません。残念なことではありますが、こうした組み立てがご理解いただけないお客様のコンサルティングは、過去にほぼ全て、当社ではお断りをしています。

 

この予備費も最初に銀行から借りておく訳ですが、その使いもしない余計な500万までを含めて、事業利回りの検証があり、あえて増やした分母に対しても十分に魅力ある利回りが見込める場合のみが、当社が賃貸アパート事業にゴーサインを出す場合なのです。

―不動産業界の常識を疑え―

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