本稿では普段、あまり詳しく解説している資料を見かけない諸費用について、少し細かく書いてみましょう。
建物の表示登記、印紙税、 “期中利息、据え置き期間金利、銀行事務手数料“ 、火災保険、その他諸費用等々、これらも全て予め支払用の資金を準備しておきます(先に借り入れておきます)。
とても多くの方から賃貸アパート事業では、建物は着工しても完成までに半年~1年かかるのだから、その間、家賃も入らないのにいつから銀行返済は始まるのか、いきなり返済できなくなったりしないのかという質問をいただきます。
これまでの項目でも「必要な支出の全て」と繰り返し書いてきたと思いますが、ここも同じです、
銀行の返済は「元本」と「利息」がある事はお分かりかと思いますが、まず最初に銀行は元本の返済を賃貸アパート事業が軌道に乗るまでの間、見合わせます。金利だけを返済する期間を設けます。それが「期中利息」と呼ばれるものであり、最初に銀行から借りたお金で建物工事期間中の銀行への金利支払いが、全て滞りなく出来る様に計算されています(計算された金額を先に借りています)。工事期間中はこれで安心です。
ここで賃貸アパートに借り上げ保証を付けてしまえば、どれだけ空室があろうが、借り上げ事業者から毎月定額の家賃が支払われますから、銀行の元本を含めた返済がいつ始まろうと心配ありません。しかし普通の賃貸アパートは完成後に入居者を集めなければなりませんから、そのリスクを更に予め見込んでおく必要が出てきます。それが「据え置き期間金利」というもので、多くの事業では三ヶ月程度見ています。
入居が進むまでの間に銀行に返済する原資を、予め事業着手時に、その銀行に返済できるように、その銀行から先に借りておくのです。
これに更に、こうした事務を銀行にやってもらうための「銀行事務手数料」も掛かりますが、これも最初に、銀行に支払えるように、その銀行から先に借りておくのです。
つまり、きちんとした事業では、必要なお金は、家賃も入ってこないのに、将来いずれ銀行に返済をする「事になる」金利分の返済原資まで、先に計算をして、まとめて返済先の銀行から予め借りておくのです。
「自分に返させる分を先回りして計算して自分が貸し付ける」というのは、読んでみると、「ソコまで貸すか!」という感じでしょうが、面白い仕組みですよね。でも安全です。
同質のコンセプトで行けば、「据え置き期間金利」の三ヶ月で入居できるのかが心配ならば、五ヶ月等々の延長交渉に応じる銀行もたくさんあります。上記の通り、銀行は、その分の返済予定となる金利分を計算して、先に貸し付けるので、利益が伸びるだけのことだからです。もっとも、事業が健全であるのなら、銀行返済は賃貸アパートの半分程度が埋まれば十分に可能になるので、最初に決めた通りのスケジュールを粛々と進めていけば、自然に必要な賃料が入り始めて、銀行への返済が滞りなくサイクルに落ち着く事になるというのは、当社の多くの事業実例をご覧いただいている方はよくご存じの通りです。