不動産業者にはノルマがあると言うことは何度もお伝えしています。そしてノルマ以前に、固定給の割合が極めて小さい業界ですから、いやも応もなく取引を毎月成立させないと、不動産業者自身が食べていけないのです。この事情は多くの不動産業者において、顧客の都合に優先します。
本件における買主を担当した不動産業者Xとのやりとりは以下の通りです。
内見の段取りが終わり、日時の最終確認をするとXが不安そうに質問しました。
「内見の○月×日までに、御社が他社に、売ってしまうと言うことは無いですよね?」
それは他社から先に買付が入れば、当社がどうこうできることではなくて、あくまでも売主が決めることだと、回答すると、以下のようにXが続けました。
「いやいや、売らないでいただきたい。私、○月×日に、 “必ず買わせてきますので” 」
この時点で買主はまだ物件を見てすら居ない。それでもXは必ずその日に契約を決めてくると言っている。恐ろしい話ですが、これも不動産業界の実態の一つと行って良いでしょう。根拠は何だろうとこちらが考えているとXが教えてくれました。
「地方からの買主で、見学はこの日一日だけなので、私が他の物件を薦めなければ、これを買うしかないのです」
・・・なるほど。
・・・理屈は分かる。
だから不動産は、購入の場合でも、急いではいけないものなのです。