日本のマンションは建て替わらない <例外編>

マンション「手間いらず」の嘘 <例外編>

マンション建て替えが難航する一方、値上がりするマンションが存在する現実もあります。

 はじめに

もはや国民レベルの共有情報と化している、高速道路等のメンテナンス費用問題。建設当初、「考えていなかった」という回答は驚きを超えて呆れるばかりです。非常によく似た、しかも、もっと多くの人たちに直接影響するであろう都市問題が、「マンションの建て替え」です。

 

結論から書けば、「マンションの建て替え」は、老朽化がかなり深刻に進んでいる様な場合であっても、ほとんど実現できておりません。マンションに警鐘を鳴らす専門家の多くが指摘するリスクは、まずはこの部分であろうと思います。

また特に超高層マンションでは建て替え以前の大規模修繕にしても、足場を掛けることが出来ませんから、円滑に実施出来ないか困難を極めるか。いずれにしてもそのコストは全て住民に降りかかる訳ですが、そういうことは、販売時には十分に説明もされておりません。

 

少し書いただけでも問題だらけのマンションという資産。そうは言っても、全て例外なく「マンションの建て替え」が実現できていないわけでもなく、短期的な資産価値としては値上がりするものも多数あるところが難しい部分です。

 

大原則として長期保有や資産形成目的の保有には賛同しませんが、例外的に購入を検討できるかも知れないと考えられる条件を、「マンションの建て替え」問題の関連記事の最初に、まとめてみたいと思います。

  購入すべきでないとまでは言い切れないマンションの条件

マンションの最大の問題点は、実際にほとんど建て替えが出来ていないということですから、「マンションの建て替え」の追い風となる要因や状態、あるいは「マンションの建て替え」をそもそも必要としない状況であれば、絶対に購入するべきでないとまでは言えません。

 

逆に考えれば、以下の条件を一つも持ち合わせていないような物件は、絶対に購入すべきでないと、強くご案内できると考えます。

 

(1)総戸数100戸以下

理想は50戸以下でしょう。「マンション建て替え」の阻害要因の一つは合意形成が出来ないことですから、管理組合としての意思決定が現実的に出来ないような、200世帯等のマンションには大きな問題があると言わざるを得ません。購入層の多くが働き盛りであった新築分譲時から40年経過した建て替え時に、銀行融資を200世帯が揃って受けられるのかは想像してみましょう。

 

(2) 余剰容積がある

後編に詳述しますが、極めて数少ない「マンション建て替え」が実現できたもののほとんどは、戸数が増えるか面積が増えるかで、大抵は大型化しています。既存建物が同じ立地で大型化するためには余っている容積率、すなわち余剰容積が必須であり、これがない場合には行政が法令制限に変更までかけて、市区民のごくごく一部であるマンション住民のためだけに、容積率を緩和したりもしています。行政運営の公平性という視点からは、非常に問題のある対応であるという見方も出来る最後の手段です。

 

ルールをねじ曲げてまで建て替えるか、スラム化するかというのは、どこかの国の瀬戸際外交と同レベルの下品さを感じます。

 

(3) 高齢者の資産構築ではなく利便性優先の選択

高齢者だからどうでも良いと言っているわけでは無く、一戸建ての庭の管理や防犯上の鍵管理など、高齢化すれば現実的に難しい問題も発生します。そんな時、ここまでは大変否定的な記述を連ねてきたマンションは、とても合理的な居住形態であると言うことが出来ると思います。

 

(4) 明らかな格安物件

もともとそれ以上、値下がりのしようも無いほどの格安物件であれば、将来の評価がどうなろうがダメージは最小です。まさに住みっぱなし、使い切りというマンション所有の形は、コロナを踏まえて今後、特に地方都市において、あり得ると当社も考えています。

 

(5) その他の特殊要因

前項とも類似しますが、例えば定借や借地等によって初期コストが大きく抑えられているものも購入対象になり得るかも知れません。またもう一つは一般の方には選択要因になりにくいかもしれませんが、居住者内に大規模修繕や建て替えの専門知識を持った人材を抱えているケースも、一定の優位性があるかもしれません。

 

ただし、ソコに資産構築とか後世への資産承継という概念が絡むのであれば、短絡的に高齢世帯には便利という片付け方は出来なくなるでしょう。

―不動産業界の常識を疑え―