日本のマンションは建て替わらない

マンション「手間いらず」の嘘

マンション建替の恐ろしい現実について、弊社の考え方と、取り組みをまとめます。

 はじめに

もはや市民レベルの共有情報と化している、高速道路等のメンテナンス費用問題。建設当初、「考えていなかった」という回答は驚きを超えて呆れるばかりです。

 

非常によく似た、しかももっと多数の人たちに直接影響するであろう都市問題が、「マンションの建て替え」です。

 

ちなみに、ここに書くような事情があるため、当社では2000年の創業以来、購入コンサルティングのお客様が、分譲マンションと建売住宅を買った事例がありません。

 制度等の変遷

この問題に取り組む、あるいは取り組まざるを得なくなった契機となったのは、阪神淡路大震災であったと言って良いと思います。以下、変遷の概要をまとめます。

  • 1950年代 マンションという形態の建物が登場
  • 1990年代 当然に初期のマンションが築40年を迎え、老朽化と建替の問題が顕在化
  • 1995年  阪神淡路大震災

 ・2棟並びの1棟が、もう1棟によりかかって持ち堪えている状況で建替合意が出来ない

 ・建替に合意した物件でも、建替資金の調達が出来ない所有者のため建替が出来ない

  • 2002年  マンション建替等の円滑化に関する法律を制定
  • 2015年頃 必要建替戸数129万戸に対し、建替完了実数はたった1.4万戸のみ
  • 2020年  建替実績のほぼ全てが資金確保のため巨大化、高層化

■傾こうが所有者がみなで合意形成しないと建替NG

 制度の致命的欠陥

まずそもそも、道路橋梁を例示に述べた社会インフラ同様、この程度の事が予見できずに制度を作ったのだとしたら、制度策定に関わった全ての専門家の能力を疑わざるを得ないでしょう。

 

また、上記の通り、現状の建替手法と位置づけられている制度には、一つも「きちんとした建替」の方途として永続的再現性が認められるようなものは存在しません。

 

仮にマンション建替を専門とする方から反論を頂戴するのであれば、簡単な質問を返します。

「今の次の。その次の次くらいの建替は、何階建てを想定していますか?」

 

「どんどん巨大化するが、バベルの塔でも、つくるつもりですか?」  *1

 

「超高層マンションを後先考えずに作り、売りさばいた専門家として、例え問題発生は自身の死後だとしても、生のあるうちに、まいた種だから “ちょっとは刈っておこうか” くらいの事も考えられませんか?」

質疑の前から回答はわかりきっています。こういうことを、ひとつも考えていないのです。

 当社の取り組み

こうした状況に対して、2000年から当社では、分譲マンションの低層誘導建替の具体的かつ実務的な提案を全国各地にて展開(札幌、首都圏各地多数、神戸、大阪、松山、長崎等々)、更にマンション建替に取り組む専門家会議でも、「設置デベロッパーによる責任建替」や「区分所有権という権利自体の抹消や解体」などの提言を行ってきました。

 

このうち松坂の市民運動支援活動は、NHKの難問解決、ご近所の底力でも放映されています。

 まとめ

区分所有権という、相当に厄介な権利を生み出してしまい、それに基づく建築形態となるマンションは、いつかとんでもない社会問題になることは必死です。

 

しかしながら当社の知る限り、目の前の、次の自社利益になる建替に取り組む専門家はいても、ここに指摘したような問題の本質を解決しようとしている専門家は皆無です。

 

制度の改善、整備にまだ相当の時間が掛かるだろうし、そもそも建て替える度にマンションが巨大化せざるを得ないと言う物理的問題は解決が出来ません。

 

「建て替わらないっぽいかも?」と、誰かが気づいたとき、マンションの価値はどうなっているでしょう。

 

以上を踏まえると、私たち出来ることは、今、所有しているマンションという負の資産を、いつ、どういうタイミングで手放すのが良いのかの検討なのではないでしょうか。

*本項におけるマンション建替問題は、あくまでも働き盛りの方の資産形成に資する場合の話であり、高齢者の「使い切り型」の居住形態を除きます。

*次の世代に資産として引き継ぐ必要の無いマンションを、自身の世代の生活のためだけに使い切るという発想であれば、本項の多くの問題は除外できます。

 

*1バベルの塔:旧約聖書に登場する、自らの名声のため“だけ”に、天にも届かんばかりの巨大な塔を建て(他人種を排斥し)、神に並び立とうとした愚かな人間が報いを受けるありがたい おはなし 。

―不動産業界の常識を疑え―