賃貸アパートメーカーの利回り提案は驚くことに、土地費を含めず、建物費だけで計算している場合がほとんどです。賃貸アパートは「土地」に「建物」を建てることで、はじめて成立する事業であり、土地を除けば事業は成立しません。また建物がある限り土地だけを売却すると言うことは出来ず、土地評価額分の資産はその場所に眠ってしまいます。そう考えると、賃貸アパート事業の利回り計算は、あくまでも、以前から所有している土地であったとしても、投資額には見なしの土地価格を含めて計算をする必要があるのです。
なぜ土地費を含めないとダメなのかは、とても分かりやすい事例として、全国の駅前を中心に実施される再開発事業を見れば明白です。公共事業として市や県のみならず、国からも補助金が執行されるため、厳格な透明性や公平性が求められ、数多くの地権者の資産を共同化することが特徴ですが、この事業で駅前の土地所有者に対して、「皆さん、土地は既にお持ちなので」と言って、土地費を総事業費に含めないケースなどは、ただの一例もありません。
全国の中心都市駅前で、数百億の再開発事業を推進するコンサル会社はまさに事業のプロ集団です。そう書けば、いかに多くのアパートメーカーの考え方が、事業検討の方法として不適切なのか、ご理解いただけると思います。
この計算をきちんとやれば、一般的に利回りは一気に半減します。