賃貸アパートの採算確認方法1

投稿者: | 2021年6月16日
大きな税金。

目次

 [ この記事のポイント ]

 ● 固定資産税・都市計画税が支払えないのは、どこかがおかしい。

 ● 所得税も年収900万円くらいまでならば、支払えない税金ではない。

 ● 不動産運用において、もっと恐ろしい税金は、その後に控えている。

 はじめに

例外を除けば固都税の税率は1.7%くらいですから、支払えない人はありません。言い切ったのは、仮に本当に固都税の納税に苦慮するような状況が生じているのなら、所有している不動産が「全く運用できていない」か、不動産の総量が身の丈に合っていないのです。あえて「全く」と言う言葉を選んだ理由は後述します。

 

控除や住民税はともかく、所得税は年収900万円以下ならば概ね20%以下です。固都税率から話を始めているので、一気に厳しくなった印象をもたれるかも知れませんが、それでも、高額に所得があった方は高額に支払って下さいと言うだけのことなので、やはり支払えないという人はありません。

 大きな税金

前段が乱暴な記述であったことはお詫びいたします。ただ、そんなものではない税金が控えていると言うことをお伝えしたいと思います。

 

(1) 相続税

言わずと知れた破壊力ナンバーワンの税金です。これは本当に放置しておくと三世代で資産が無くなるというのは大げさな話ではありません。元々が資産の再配分をコンセプトにしているのですから。

 

(2) 譲渡所得税

確かに長期譲渡ならば約20%と高収入な方の所得税程度の税率です。しかし問題はその税率が、不動産という大きな取引の利益に掛けられるという部分です。また、長期譲渡の場合、計画的に不動産の売却を指向したわけでは無く、相続した余剰地だとか事業に窮してやむを得ず等、予め準備をしていない状況での売却を多く含みますから、経費の構築が不十分になりがちです。

 

「どうせ売却益から支払うだけのこと、何を大げさに」とお考えになる方は、経営に不向きかも知れません。それまでの10年以上の間に、不動産の運用によって「長期譲渡の20%分」を稼ぎ出していれば、今回の資産売却でその大金がソックリ残る勘定ですという話をしています。

 

ちなみに短期譲渡の約40%という税率は、不動産取引に掛けられると思うと、ちょっと支払う気力を失いますよね。

 大きな税金への必須の準備

しかし少し考えてみて下さい。

 

言うまでも無く相続税は「資産保有=親族内での資産承継」に課税され、譲渡所得税は「資産売却=他人への所有権移転(原則)」に課税されますから、「本人が保有し続ける」以外の場合に支払います。

 

これは、いつかは必ず支払うことです。

 

よって不動産における税務対策とは、この二つの税金をいかにキッチリ支払えるだけの納税資金を、自分が元気なうちに準備できるのかどうかという話に収斂します。そういう意味で当社では良く言いますが、「固定資産税くらいもらえれば」という、深い考えも無い駐車場が、もっとも明確に間違った土地利用だと言えるのです。

 特殊なケース

(1) 高額所得者の所得税

前段で所得税は支払えないことは無いと書きましたが、年収が1,000万円、2,000万円となると少し話が違います。確かに支払うことは出来ても、30%とか40%という税率は、確かにこれはチョット、何かやりたくなる納税額になってくると思います。ここまでの高額所得者の方は収入の仕組みにも個人毎の特性があるので、一般論では無く個別に対応する必要があります。

 

(2)

前段の「身の丈」の意味を、捕らえ直して下さい。確かに大地主等、広大な土地を単に所有しているという状態ならば、固都税の支払いが厳しいのは当然です。しかし、保有資産を適切に運用できていれば、固都税の納税に窮すると言うことはあり得ないのです。「全く運用できていない」についても簡単なので説明します。当社が提案する賃貸アパート事業の利回りは概ね6%程度です。ならば仮に1,000坪等の資産の半分が駐車場として遊んでいても、半分がしっかり運用できていれば、固都税に困る計算にはなりようが無いですね。ですから固都税に窮している土地所有者の方の運用に関する評価は、それ以下。「全く」できていないという評価になるのです。

 

代表例の駐車場を含めて、十分に利益が出せていない賃貸住宅とか、そもそも不適切な立地での賃貸運用とか、事業規模が6戸等、とても小さくて非効率的なもの等々、致命的な問題点があるはずです。まずは課題の抽出のために、賃貸アパートの採算をご自身で確認されることから始めるのが第一歩なのでは無いかと思います。

 

が、ここも考えてみて下さい。その状況はそれ程の土地を持っているにもかかわらず、適切に資産運用をしてこなかった本人自ら招いているとしか言いようが無いのではないでしょうか。