アース・デザイン 売却事件簿 : 糀谷中古マンション

投稿者: | 2020年7月24日
購入時よりも700万円、高く売却できたマンションの不思議事件

目次

[ この事件のポイント = 売主さんの決めたこと ]

  • 地域最高値以外では売らない。売却に係る時間は何年でも待つと最初に決めたこと。
  • 大手の隠し売の仕組みを理解して、全国公開販売を徹底したこと。
  • 購入時に高くても駅から雨に濡れない物件・・・『駅徒歩2分』を選択したこと。

出来事・経緯

・売主Cさんのご自宅は九州。都内での不規則な勤務のために単身用の高級マンションを購入。

・購入時の拘りは駅からの距離。小雨程度なら濡れる前にエントランスに到着する距離に拘りました。購入価格は約2,700万円。居住してみると、マンションの裏手に近接する電車の騒音も全く気にならないくらいの高級防音仕様を実感しました。良いものを買いました。

 

・当社に対するCさんのご指示は、地域最高値でなければ売らないということと、そうした価格がつくまで、いくらでも待つという、まとめると非常に分かりやすい二つだけでした。

・この当初方針を、その後Cさんはあれこれぶれることなく、最後まで貫きましたから、言い方を変えればCさんの場合には物件を売り出した時点で地域最高値は確定していたと言うことが言えると思います。

 

・とはいえ売り出してみると、流石に高額なため、物件の見学にはほとんど申し込みが入りません。それでも一切、Cさんは価格を譲るつもりがありません。ここで焦るようなことが微塵もないところがCさんのスケールの大きさなのでしょう。

 

・数ヶ月要しましたが、ノルマのポイントが欲しい不動産業者の営業マンXが、地方から都内の物件を見に来るという買主を連れてきました。

・Xの説明は後述しますが、こうした経緯により、無事、CさんのマンションはCさんの思惑通り・・・というかCさんが最初から決めていたとおり、地域最高値を記録したのです。

住宅売却成功の基準

Cさんは本物件に7年間居住し、購入時よりも700万円も高額に売却しています。この間、Cさんは駅徒歩2分という好立地の高級物件で、家賃無料で生活していたことになります。

 

ちなみに購入時の仲介手数料、税金、今回の売却時の仲介手数料、税金、その他諸経費全てを差し引いても、700万円という価格の伸びはまだおつりの来るほどの金額であろうと思います。たった一部屋の2LDKの中古マンションでもこれ程の差が出る不動産取引、大きな土地などになれば成否の差は簡単に数千万となります。

 

不動産はくれぐれも慎重に取り組む必要があると実感するような事例でありました。後にCさんからは「こんなに税金を払うのか」とのお叱りまで受けたのですが、Cさんの場合には有効な税制特例がありませんから、そればかりは当社でもどうすることも出来ませんと、笑いながら回答した次第です。それだけ儲けが大きかったと言うだけのことなので。

当事件のポイント

ポイント1 なによりも、Cさんが結論を最初に決めたこと

Cさんの思考は極めてシンプルかつ大胆で、真に取引の本質を突いたものでした。

  • 最高値でなければ売らない
  • アース・デザイン方式以外に最高値は実現できないだろう
  • 最高値にならないなら、売らずに使い続けるか貸す
  • 要するに自分は黙って待っていれば良い

書けば簡単なことなのですが、出来ない人も少なくありません。しかしCさんは見学の申し込みが全くない時期に焦ることもなければ、もっと積極的な宣伝広告方法はないものかと無駄な悩みを抱えることもなく、当社への確認や報告の要望は一度もありませんでした。

 

当社の提案する、「単に全国に情報公開」「ただし公開はしっかり確実に、全てに対して実施」という方法以外に、最高値の売却が実現できる方法など無いと言うことを、しっかり確信されていたのだろうと思います。

 

売主がこのように、堅固に最初の姿勢を貫けば、ましてや一切、微塵もぶれることがないのなら、取引が成立する場合は自動的に最高値に決まります。

 

ポイント1と言うよりも、本件の最高値という決着は、Cさんから当社が依頼を受けたその時に、もう既に決まっていたと行って良いのだろうと思います。

 

ポイント2 待てば海路の・・・ 

不動産の売却は。いいえ、不動産の高額売却ですら、情報がきちんと全国の不動産業者や消費者に向けて開示さえ出来たなら、それ以外にやることは何もありません。当社ではこの様をよく、「釣り糸を垂れているような状態」と、顧客にお伝えしています。腕達者な釣り人に聞けば、この時に余計なことをあれこれやるほど、逆に大魚を逃がすこともあるそうです。

 

不動産の売却にも非常によく似たところがあって、売主やその担当業者が自らチラシを撒いたり、新聞折り込みを実施したりと言うことは単なる無駄なのです。全ての不動産業者に情報を開示して、そうした販売活動を「許可」しさえすれば、そうしたコストは一切、相手持ちでそれらの業者が勝手に、一斉にやることなのです。

 

売主がすべきことは、しっかりした釣りの仕掛けを作るところで、全て終わっているのです。

待てば海路の日和ありとは、さまにこのことかもしれません。

ポイント3 相手業者さえも味方に付ける

不動産業者にはノルマがあると言うことは何度もお伝えしています。そしてノルマ以前に、固定給の割合が極めて小さい業界ですから、いやも応もなく取引を毎月成立させないと、不動産業者自身が食べていけないのです。この事情は多くの不動産業者において、顧客の都合に優先します。

 

本件における買主を担当した不動産業者Xとのやりとりは以下の通りです。

 

 

内見の段取りが終わり、日時の最終確認をするとXが不安そうに質問しました。

 

「内見の○月×日までに、御社が他社に、売ってしまうと言うことは無いですよね?」

 

それは他社から先に買付が入れば、当社がどうこうできることではなくて、あくまでも売主が決めることだと、回答すると、以下のようにXが続けました。

 

「いやいや、売らないでいただきたい。私、○月×日に、 “必ず買わせてきますので” 」

 

この時点で買主はまだ物件を見てすら居ない。それでもXは必ずその日に契約を決めてくると言っている。恐ろしい話ですが、これも不動産業界の実態の一つと行って良いでしょう。根拠は何だろうとこちらが考えているとXが教えてくれました。

 

「地方からの買主で、見学はこの日一日だけなので、私が他の物件を薦めなければ、これを買うしかないのです」

 

・・・なるほど。

・・・理屈は分かる。

 

 

だから不動産は、購入の場合でも、急いではいけないものなのです。

プロフィール

・大田区 京浜急行駅 徒歩2分 築7年

・約54㎡ 2LDK

・当初購入価格 約2,700万円

・売却成約価格 約3,400万円

・売却期間 三ヶ月

売主に直接、質問できます

当社では顧客毎に説明を使い分けると言うことを致しません。このため、当社の顧客同士はオーナーズ倶楽部を通じて、お互いの連絡先などを交換しています。本件売主は外部の方のご質問にも対応いただけます。