(1)当社が双方代理をする場合
そこに買主Bさんから当社に仲介の依頼(購入申し込みや具体的な相談)がありました。この場合、Bさんも当然に当社の顧客となります。当社はAさんだけではなく、Bさんの利益にも配慮をしながら仕事をしなければならない立場となります。よって、当社が8,500万を目指して取引をまとめると言うことは出来ません。
しかし一方でAさんの損害も当社は絶対に出せない立場ですから、概ねの中値、7,000万以下の取引をAさんに提案することもあり得ません。あくまでもBさんに利益のあるであろう範囲の価格設定で、例えば500万~1,000万値引きの8,000万~7,500万等の価格を想定し、Bさんに他の選択肢があることも提示をしつつ、まずはBさんの合意を得ます。
ここでBさんがこの物件に拘らず、弊社に別途購入コンサルの依頼等をされ、他の物件も探すというのであれば、当社がBさんに提示する目標値は、あくまでも○市○町○丁目のエリアであればその底値。坪150万~200万。30坪なら4,500万~6,000万の土地と言うことになります。
では仮に8,200万でもBさんがこの物件を購入したいと考えた場合はどうするのか。これは当社が2000年の創業以来、一貫して全ての購入コンサルの顧客にしてきた対応の通り、まずは「反対」をし、それでもBさんに同意をいただけない場合には更に反対の理由をしつこく明確化し、それを全て承知でBさんが購入されると言うことであれば、取引に係るBさんのリスクを全て排除しつつ(勿論Aさんも)、そこではじめて取引を進めていきます。
お読みいただくのが恐縮してしまうほど、ややこしい仕組みになっていると思います。
でも再度お伝えしたいのは、本来はこのくらい思い悩んだり、考えることが山ほどある双方代理取引を、自社の利益が二倍になるという理由だけで、ほとんどの不動産業者がなんとなく実施しているという現実です。
これは消費者の利益保全という観点からは、非常に大きな不動産業界の問題であろうと思います。
あえてもう一言加筆しますが、「双方代理」がダメなのでは無いと思います。「双方代理」の場合に、各々の利害のぶつかる立場にある売主、買主が、各々のメリットとデメリットや可能性について、一切、説明をされていない現状が問題であるとの指摘をしています。
プロの不動産業者であれば、当社がここに記載しているような仕組みになっていることは、百も承知なのですから。全て承知で少し高いけれど良い物件だから買うという判断も、事情があるから少し安いとは思うが、今、この取引をまとめることが優先だから売るという判断は、いくらでもあり得る、健全なものでしょう。