01銀行判断と返済バランス

投稿者: | 2022年2月2日

目次 2月2日:齊藤からの回答

 はじめに

草間様 お世話になります。

先日はzoomでの意見交換、ありがとうございました。

賃貸アパート事業に関する考え方について、補足回答を出します。

 

この意見交換も以前にお願いした賃貸アパート事業のリスク検討に、編集して盛り込める内容かも知れませんが、なんにせよ、またの機会に意見交換を継続させていただければと思います。

賃貸アパート事業 実現の大前提

賃貸アパート事業が出来るか出来ないかは、事業主の意思決定以上に、銀行の判断に【完全に左右される】という点は以前のメールリストにも、記事にもしたと思います。例えば最新の東京都清瀬の事業バランスは、自己資金3千万、銀行借入1.5億であり、銀行の資金が出てこないと全くどうにもなりません。

 

その大型の借入を、きちんと返済できるのかという部分が、誰でも最初「は」引っかかる部分でしょうが、同清瀬を例にすれば、一月の家賃保証額が90万~100万(売上)であるところ(複数社の家賃保証会社の見積にばらつき)、銀行返済は45万円ですから、返済が出来なくなると言うことは、基本的には考えられません。逆に言えばアース・デザインが統括する事業はどれも概ねその用に事業計画が設計されているという意味です。

 

ただしここに保証を付ける場合、得られる利益は大幅に減ります。上記事例も安全を取ったため減っています。他地区は全て、「安全=保証」を取っていないので、バランスのイメージとしては売上100~110に対して、返済45という感じになります。これで利回り6%くらいのイメージになります。賃料保証が不要であるのは、資産運用が好調な証拠とも言えるでしょう。

住宅メーカー提案事業との比較

一方、弊社では大変深刻に受け止めている、初期コスト(主には工事費)の過剰投資による利回りの低減は、それでも5%程度までの話です。具体例としては仙台と所沢ですが、格好良い分、利回りが劣ります。建物を見て下さい(後段リンク参照)。

 

両方、チョット他より頭ひとつ、ぬけて格好良くないですか?w

でも。それでも利回りは両事業ともに、キッチリ5%あるところ、住宅メーカーは工事費が高額であるため、格好悪くても黙って4%の攻防になります。

 

これを上記イメージに置き換えると、同じ投資額1.8億と、同じ金利条件に対して賃料だけが下がりますから、売上60万~67万くらいに対して銀行返済が45万となりますから、それはまあ、厳しいに決まっていると言う話になりますよね。事業の検証も利回りの重要性も、具体的な数字になると、一気にわかりやすくなりますよね。初期コストの土地代と建物代をかけてしまうと、アパートに限らず賃貸事業は基本的に、多分、なにをどうやっても合わなくなると思います。

 

分かりやすく言い換えれば、住宅メーカーやアパートメーカー、あるいはもっとひどいのは税理士任せにする、ということこそが、事業リスクであるという風に言えるだろうと思います。面白いことに、楽したツケは必ず払います。w

事業判断のまとめ

と言う訳で、初期コストをキッチリコントロールできる技術さえあれば、あとは要するに銀行さえ健全だと認める事業提案に組み立てることが出来たなら、2億程度の賃貸アパート事業(賃料は1,200万程度)は誰にでも出来ると言うことになります。 →あくまで銀行判断です。

銀行が好む「相続対策」という形

その銀行の最も受けが良いのが、「今」は相続対策です。事業主が祖父母の世代で、その相続対策の一環であると言う大義名分の元、銀行の資金がひとつの家族の資産承継に役立っているという形を取れると、非常に融資が引っ張りやすいです。ひとつの理想的な例題は、土地を所有している方の資産承継であり、そういうパターンのお客様が御社の顧客にあれば、是非、一度、ご相談をいただければと思います。必ず出来るとは、何度も言うように銀行判断なので言い切れないのですが、賃貸アパート事業は、出来るならばやった方が良い事業ですから、可能性があるのにやらないというのは勿体ないと思います。農家がベストという事業者もあります。

「ご年収」に対する、今時の評価

数年前はソコソコの年収があれば有利という時期もあったのですが、割と一瞬でそのブームは終わった印象です。w

 

そのタイミングで手を上げていれば、年収800万もあれば十分に賃貸アパートは持てたし、うまくやれば現に2棟保有をたった三年で実現(年1,600万+年1,300万=計3,000万弱)した方までありましたが、今は年収1,500万くらいでも、それだけでは好条件の融資は引き出せません。この傾向は今後、多分、更に顕著になっていくでしょうから、賃貸アパート事業を「将来的に」と考えている方は、さっさと現時点の条件に対して銀行がどういう判定を下すのか、把握しておいた方が良いだろうと思います。

 

ある意味、ダメ出しをしてもらえれば、将来的な対処方法も今から合理的に構築することが出来るのです。例えば無意味な学資保険や医療保険、たいして儲かりもしない投資信託に回すお金は単純に貯金に回した方が良い場合もあります。また、意見交換させて下さい。  齊藤

―不動産業界の常識を疑え―