「不動産の通知表」など初めて聞く考え方でしょう。
しかし資産一覧は作成済みでないとまずいです。
目次
よく聞く、ありふれた深刻な問題
・不動産はあちこちに持っているが、どこをどうするのが良いか分からない。
・地目の別や詳細面積までと言われると、整理に自信が無い・・・。
・土地が大きすぎて、不動産業者に言われるがままに小分けに開発してきたが、どうもうまくいかない(いっていない気がする)。
・うまくいかないどころか、気がつけば接道条件の良い部分だけ取られてしまい(先に切り売りしてしまい)、大きな面積は残ったものの、全く使い勝手が悪い状況になってしまった。
・相続できるかどうか。更に次の相続となると非常に不安。
皆様それぞれに、色々な悩みがあると思います。でも、意外と最初にすべき事は一つです。
資産一覧の作成=通知表
懐かしい響きだと思いますが、なぜ、子供に通知表が必要なのかを考えてみましょう。通知表の趣旨は、5が揃えば偉い子で、2や3ばかりだと駄目な子という、順位付けだけが目的ではありません。
各々が自身の優れた部分や弱点を見つめ直し、その後の成長に繋げる。だから不動産も、通知表を付ければ、すべき事やその順番までもがかなり明確に出来るのです。
逆に言えば、上記失敗談の多くが、その時点で手元に通知表が作成出来ていれば防げたことです。
相続を代表に、運営会社の不振や家庭内の諸事情によって、こちらが困ったときに不動産屋は仕入れにやってきます。事が起こってからじっくり吟味検討している時間など、あるわけがありません。
だから資産一覧表=不動産の通知表は、何事もない平時に、用も無いのにきっちり作成しておく必要があるのです。
一例として接道を脆弱にされてしまった土地、効能のダメージを金銭換算すれば簡単に数千万単位となる事は全く珍しくないでしょう。
(1) まず土地を整理する
・建物は土地の上に立地します。ですから最初に、土地情報を整理します。
・土地は面積、地目、評価額をまとめます
(2) その土地は、「利用単位毎」に全ての筆を網羅してまとめる
・利用単位毎に整理すると、利用単位毎の面積が明確に出来ます。
・これは大きな土地の中に、「自宅」「アパート」「駐車場」などが混在している場合にとても有効です。
・どの利用方法が効率が良く、どれが成績が悪いのか、一目瞭然になります。
(3) 建物は面積、用途、そして評価額は「初期建築コスト」をまとめます
(4) 賃料のあるものは年間賃料をまとめます
(5) 以上から各々の利用単位毎の利回りを求めます
なぜ、資産一覧表を通知表と呼称するのか
もうお分かりかと思いますが、答えは非常に簡単で、当社の言う資産一覧表とは単なる資産のプロフィールをまとめたものではないのです。
現時点での各不動産の利用単位毎の成績が感覚では無く数値化されます。
客観的数値を比較することによって、各々に対する対策、伸ばすべき部分と改善しなければならない部分が明確になってゆくのです。当然、この段階で設計者の提案、意見交換は絶対に必要です。この部分は他の専門家での代用は効きません。
また、処分することが最善の土地も客観的に整理することが出来ます。
当社の事例説明
資産一覧表=通知表の作成方法や考え方をご理解いただけたところで、当社での具体的な検討経過をご紹介しましょう。ざっと眺めていただくだけで、以下のようなことが簡単に読み取れると思います。ご自身でもお考えになってみて下さい。
① グループ3の駐車場は事業効率が非常に悪い
② グループ1は借地権であるため、返還請求は得策ではない
③ 対してグループ4の借地権は自宅を含めた本拠地の接道に関わるため、多少、費用が掛かっても買い戻すべき
④ グループ4の自宅は、今は二世帯で機能しているが、子供世代になったときに大きすぎると共に、そもそも子供が二世帯を望むか不透明
⑤ グループ2の賃貸アパートは事業効率が悪いが、駅距離を考えると追加投資をすべきでない
⑥ グループ4の賃貸アパートも事業効率が悪く、自宅隣接地であることを考えると、買い戻した借地権部分も併せて、全体の将来的な土地利用計画を設計する必要がある
ご覧いただくと、誰でもグループ3の処分や、グループ2の資産組み替えは簡単に検討すべきとの結論に達するでしょうし、事実、この方も、これら二つの資産を船橋の年間確定賃料1,300万円の賃貸アパートに買い換えて、事業収益を大きく向上させると共に、約4千万の相続税を400万まで圧縮しています。
以上、成功の手法選択の第一歩が、不動産の通知表の作成と言うことになります。