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例えばなし
A君が親友のB君に大切な本を貸しました。その後、忙しくなってしまったA君は返却の催促も忘れ、何年かが過ぎました。でもある日突然、なぜだかA君は貸していた本のことを思い出し、気まずかったのですが、それでも親友であるB君を信じて、思い切って返却を求めることを決意します。
ところが驚くことにB君はA君の大切な本を借りていたと言うことを、A君から催促されてからようやく思い出す始末。B君はその本を自分の書棚にきちんと置いてしまったために、いつからかスッカリ自分のものだと思い込んでしまったとのことでした。A君はB君にスッカリ呆れてしまいました。
さて、悪いのはB君だけでしょうか?
預かり物件の所有物への勘違い
説明の必要の無い例え話だったかも知れませんが(そして決して上手でなくて済みませんが)、A君がオーナー、B君が管理会社です。管理会社は預かり物件を何年も預かっていて、しかもオーナーがなんのチェックもせず、一切お任せで放ったらかしていると、「預かったものはオレのもの」という勘違いに基づく振る舞いを、目に余るほどの頻度で行うようになります。
余程のことをやらかさない限り、どうせなにも言ってこないという気持ちもあるでしょう。
以下、『代表例だけ』を列記しますが、このほとんどが所有物への勘違いに基づいた行動、判断だと仮定すると、非常につじつまが合うのです(違和感なく、納得がいきます)。ちなみにこれらの事案は、ここ数年の間に全て、当社コンサル物件である+Cシリーズの賃貸で実際に当社が発見し、是正したもの『だけ』です。
(1) 鍵交換費用を、鍵交換をせずに着服
(2) オーナーから鍵交換費用2万円を徴収、交換手数料5千円を差し引いて1.5万円をオーナーに送金する約束を忘れて、結果的に着服
(3) 敷金精算で、本来は入居者に請求すべき項目を、自身の判断で目こぼし(不請求)
(4) 「入居前消毒」「自社販売保険」をオーナーに無許可で、あたかもオーナーが定めた入居条件であるかの様に入居者に説明して販売
(5) 入居者獲得のために、「賃料一ヶ月無料サービス」をオーナーの承諾なく乱発
(6) 逐一確認が本来は原則と言うことを忘れ、確認どころか報告すらなく勝手に種々決定
読むと呆れますが、物件が自分のものだと想像してみて下さい。それならば、おかしいことは一つもやっていないのです。勿論、上記全ての事案に関して、当社から管理担当が社に対して、時には国交省も巻き込み、相当に激しい叱責と追及をさせていただいたことは言うまでもありません。また(2)に関しては管理会社の対応に悪質性が認められたため、半年以上の時間を掛けて、書面でのやりとりを行い、全ての記録をオーナーズ倶楽部に共有、再発防止の一助としています。
他事案
この他にも少し毛色が違うのですが、以下のような問題も当社では発見し、全てオーナーズ倶楽部を通じてクライアントが対応ノウハウを蓄積しています。
(1)賃料交渉、入居条件交渉
・管理会社は入居者から礼金を0にして欲しいとか、家賃を千円下げて欲しいとか、賃料発生日を1ヶ月先に出来ないか等々交渉があると、オーナーの利益を気前よく削って契約をまとめようとします。付き合いが少し長くなり、調子に乗ってくると、これらの複合条件なども平気で持ち込み始めるため、あまりにひどい場合には、当社では、「自身(管理会社)の業務報酬をさきに削ったらどうだ」と、対応する場合があります。
・なでもかんでもオーナーに求めずに、「管理会社も報酬を1.5ヶ月から0.5ヶ月にしますので、オーナーズにも賃料発生日をもう2週間譲っていただいて、この入居者様は是非、まとめましょう」くらいのことが言えないかと、指導をしています。
(2)勝手に同条件で契約更新
・上段に含めなかったのは、当社コンサル物件を除けば、一般的にほとんどの賃貸物件が値上げをするという事例がないだろうからです。しかし本来、賃料は、物件がきちんと魅力的であることを前提として、そのタイミングのマーケット次第で上がる可能性は十分にあるわけですから、管理会社が勝手に何かを決めて良い訳がないのです。
・この点に関しては当社管轄のほぼ全ての管理会社がしっかりと認識、申し送りをし、またあまりにも事例の多い当社物件の値上げという対応に慣れてくれて、今では更新契約の事前確認が入らない物件はなくなりました。
(3)賃料月次 精算書の単純計算間違い
・想像以上に計算間違いによる送金額の間違いは発生します。面白いのは自分の取り分が減る方向の計算間違いは一度も無いことです。
・当然に、全て当社で見つけ出し、全て完全に追加請求をしています。
まとめ
さて。悪いのはB君に間違いないのですが、でも、B君だけなのでしょうか。