「売却情報の公開」など、当然のことと普通はお考えになるでしょう。しかし残念ながら、たったこれだけの事が適切に行われていないのが不動産業界の現実であり、そのことが当社の圧倒的な実績に直結する最大の要因なのです。
もう少し分かりやすくするために、まずは現状、大多数の不動産業者がどのように売却情報を取り扱い、どんな風に査定をしているのか。次項で詳しく解説していきます。
(1) 情報の取り扱い方法
不動産業者は売主と専属専任媒介契約または専任媒介契約を結んだ場合、「レインズ」という売却物件の管理システムに物件情報を登録する義務が生じます。この義務は媒介契約書に定められています。
レインズとは、公益財団法人が運営している不動産業者しか閲覧できないWEBサイトで、全国の売却情報が集まっている最大の情報サイトです。物件情報を登録しさえすれば、これ以上に波及効果が高い情報配信方法など存在せず、いくらスーモやyahoo不動産等の民間ポータルサイトが頑張っても、レインズの情報量を超えることは出来ないのです。
しかしながらレインズには“不動産業者しか閲覧できない”という、とても大きな弱点がありました。こうした業界事情を悪用し、まさかそんな訳は無いだろうと言うことを堂々と、戦後90年に渡って繰り返してきたのが、囲い込みという販売手法です。
PDFは週刊ダイヤモンドオンラインで話題となった、不動産業者の情報隠し(囲い込み)の実態記事です。ご一読ください。
しかしながらレインズには“不動産業者しか閲覧できない”という、とても大きな弱点がありました。こうした業界事情を悪用し、まさかそんな訳は無いだろうと言うことを堂々と、戦後90年に渡って繰り返してきたのが、囲い込みという販売手法です。
週刊ダイヤモンドオンラインでも話題となった、不動産業者の情報隠し(囲い込み)の実態記事などでご確認いただくのがよろしいかと思います。
レインズに売却物件の情報を登録しさえすれば話は済むと、全ての業者が理解しています。にも関わらず、なぜ不動産業者はこうも一生懸命に、売却中の物件周辺に販売チラシをまいたり、新聞折り込みをしたり、費用を掛けてまで行うのでしょうか。答えはとても簡単で、それは、売主の利益のためでは全くなくて、仲介業者自身の利益を最大化するための手段だからなのです。
週刊ダイヤモンドオンラインの記事にある通り、不動産業界では情報の囲い込み(情報隠し)は至極当然のこととして行われているのです。このような体質になってしまう理由は非常に単純明快で、ご一読いただければどなたにでもご納得いただける内容だと思います。要点を順次、まとめていきます。
なお、大手の名誉のために付記しておきますが、不動産業界全体にこうした体質があり、地場の中小企業になっても基本的にやっていることは変わりません。数年前に当社が関わった埼玉県での取引の経緯に関し、記載をしますので、ご興味のある方はお読みいただければと思います。
さいたま市北区日進に、高齢のAさんと、その親戚関係にあるBさんが約170坪の土地を所有していました。
これらの土地を一括で売却するため、Aさんは古くから付き合いもあり、大宮区と地勢にも明るい地場の中小業者(株)S不動産に仲介業務の依頼をしました。
しかしながら一向に成果が上がらず、Bさんは不動産業者の物件情報の囲い込みに関しても知識があったため、旧知であった当社にアドバイスを求めました。
当社が調査をすると、この物件はレインズ(不動産業者専用のデータベース)に公開されていなかったため、そのことをBさんが担当者Sに伝えると「数日中に掲載する」「来週には掲載する」との対応でした。この時点でS不動産は明確な法令違反なのですが、AさんやBさんのような一般の消費者が、証拠を集めてS不動産の尻尾を掴む事は事実上、不可能な仕組みになっています。
しばらく待ってはみたものの、担当者Sの言葉通りに物件情報がレインズに掲載されることはなく、業を煮やしたBさんが担当者Sを問い詰めました。
その回答は、「レインズに物件を出してしまうと、【売れ残り感】がでてしまう。(ため、AさんやBさんのためにならないので、自分はあえてレインズを使っていない)」との説明でした。
このように、なんのかんのとおかしな理屈をつけて、預かった物件情報を公開せず、自社の利益を二重に獲得しようというスタンスは、大手、中小を問いません。
そして質の悪いことに、ダイヤモンドオンラインや当社のように、覆面調査でもしない限り、その嘘は売主にバレることはないのです。
(2)とにかく両手 -両手仲介の仕組み-
ここではまず、皆様にひと手間掛けていただきたいと思います。
「不動産 とにかく両手」で、ネット検索を掛けてみて下さい。
この検索に当社が指摘している、常識ではとても信じられないような不動産業界の悪事や実態が、想像を超える件数でヒットすると思います。
ではなぜ、不動産業者は顧客を裏切ってまで情報を囲い込もうとするのでしょうか。その理由は、不動産業者の業務報酬体系にあります。不動産業者の業務報酬は、取引価格の約3%です。取引価格が高額になればなるほど、その利益は大きくなるのですが、実は取引価格が安くなっても、仲介業務報酬が増える場合があるのです。
法令に則って広く売却情報を公開すれば、十分に5,000万円で売却できる可能性のある物件を、不動産業者が4,000万円や3,000万円と言った査定や、売主に対する強い値下げ要請、誘導によって価格を下げてまとめた取引の場合の報酬額を計算してみましょう。
最右覧は「両手仲介」と言われる取引形態で、ひとつの物件の取引に対して仲介業者は売主、買主それぞれに対して業務報酬を請求することが出来ます。この場合、それぞれから3%ずつ報酬を得ることになるので、取引価格の約6%が業者の収入となります。
普通に考えても5,000万円の予算の買主よりも、4,000万円、3,000万円の予算の買主の方が人数が多く、容易に見つけられることは想像が付くでしょう。
他の不動産業者が閲覧しているレインズに売物件情報を公開して “しまい” 5,000万円で買ってくれる人を他の仲介業者が連れて “きてしまう“ と、自社の報酬額は156万円です(買主側の仲介料156万円は他の不動産業者に取られてしまうので)。しかし、売物件情報を公開せず、他者からの紹介をうまくかわして、4,000万円で自社が両手仲介すれば、自社の報酬額は252万円と、むしろ大きくなるのです。
3,000万円まで売却価格が下がり、売主は2,000万円もの損害を出しているのに、不動産業者の報酬額は156万円から192万円に増加するのです。
これが大多数の不動産業者が「片手」ではなく「両手」を意地でも目指す最大の理由であり、その実現のためには、情報はできるだけ非公開にしておきたいのです。
あえてもっとハッキリ書きましょう。不動産の売却情報は、不動産業者としては、公開されてしまってはむしろ都合が悪いのです。
以上、不動産業者の業務報酬の計算式=仕組みが理解できると、なぜ、不動産業者が売主から預かった物件情報を公開したくないのか、とても簡単に、ご理解いただけることと思います。
以下にポイントをまとめておきます。
- 買主を不動産業者が自ら見つければ、報酬額は「売却価格の3%」の同額を買主にも請求できるため、売主からの受領分と併せて一気に二倍・・・「売却価格の6%」となる
- 大手を中心に多くの不動産業者にはノルマがあるため、短時間に売上を伸ばす必要がある
- 最大のポイントとして、売物件の情報を公開せずに隠しているという事実を、売主たる消費者も指導監督行政も核心的に突き止めることが出来ない
(3) 新聞折り込みチラシを含む、一切のレインズ以外の販売活動
ここまでお読みいただければもう、お分かりかと思います。繰り返しとなりますがチラシや新聞折り込みを含めて、極論すればレインズ以外の全ての情報発信活動が、お客様から預かった物件の買主を適切に探し出すという目的のためには、ほとんど機能していないのです。
改めてご認識下さい。
「チラシは売主のために撒いているのでは無く、自社利益拡大のためにあくせく撒いている」
挙げ句、その費用まで売主に請求している不動産業者もあるようで・・・呆れるばかりです。