5. まとめ

(1) 相続税対策で出来ること、すべきこと

当社クライアントの、大手企業役員の方の印象的なお言葉です。

「事業性に疑問符がつくものを息子や娘に残すことは “罪” 」

まったくその通りだなあと思います。相続対策で計画する事業は、健全に収益を上げる必要があり、その選択は慎重に行われなければなりません。

だからと言って先代が苦労を重ねて築き上げた資産を、工夫もなしに、国や資産に群がる営利業者に取り上げられてしまうのは、更に勿体なく残念なことでしょう。

相続税は必ず納税しなければいけません。しかし工夫次第で合法的に、納税額を大きく圧縮することが可能になるという特徴も持っています。現時点で相続税に対して、全く対策を行っていない資産家の方であっても、絶対に諦めず、まずはシミュレーションをしてみることがもっとも重要なのだろうと思います。

相続対策の問題点について、何かに気になることが見つけられたなら、是非、今すぐに考え始めてください。それは誰でも出来ることです。

時間が進むにつれて選択肢は少なくなってしまいます。でもそれでも、その時に残されている相続対策は、相続発生前であれば必ず存在するのです。早期から取り組む場合に比べれば効果は限定的になるかもしれませんが、それでも、残されている手立ては、子孫のために講じるべきなのだろうと思います。

(2) 相続対策の最重要事項

いろいろ述べてきましたが、相続対策で最も大事なこととは一体なんでしょう。答えはとてもシンプルで誰にでも出来ることに集約します。

「時間も選択肢もない、という状況にしないこと」

相続対策の最重要事項は、被相続人が60代等、十分な時間があり、存分に明快な判断力を行使できる時点で(まだ全く元気でピンピンしている段階で)、さっさと着手することです。

次世代が、「最後まで諦めない」などという、難しい状況に陥らないように、事前に適切な対策を構築してしまうことです。

その場合、前項にまとめた「出来ること」という守りの状況を以下の様に大きくプラスの循環に変えることが可能になります。

・ 生命保険が活用できるので、「支払わない」という防衛的な対策が、自力で「払い切る」という積極策に変えられる

・ アパート経営(投資案件)は躊躇無く、稼げるだけ稼げば良いという健全な状態にできる

・ 健全な物件は、売りに出しても買いたい人は多い(と推測できる)

買いたい人が多数現れる高収益物件は、保有していても良い

・ こちらが売りたいのでは無く、あちらが「買いたければ売ってやる」という立場での取引を作り出すことが出来る

これらの思考循環で、「相続対策」と呼ばれてきた「だけ」のまがい物の手法は一つも必要なくなるのです。