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なぜ、指定容積率以上の床面積をつくることができるのか?

 
当物件は、良好な住宅地の要件とされる第一種低層住居専用地域にあり、かつ、その分類の中でも最も制限の厳しい、建ぺい率40%、容積率80%の指定がされている地域です。
 
厳しい制限を設ける目的は、極端に隣地との距離が狭まったり、日照を遮るような高い建物が建築されたりすることを抑止するためです。つまり、良好な住環境が今後も保たれやすいということを意味します。
 
それはとても良いことなのですが、逆の言い方をすれば、自分たちが建てる住宅にも、広さや高さに厳しい制限がかけらるということです。
 
具体的にこの土地で検証してみると、敷地面積は80.76㎡(約24.42坪)ですので、延床面積は、その80%の約64㎡(19.5坪)しか建てられません。
制限の厳しい地域では、敷地が細分化されてしまうと、希望の間取りや広さを叶える設計がなかなか難しくなってきます。
(土地を買って注文住宅を建築されたい方は十分にご注意ください)
 
しかしこの住宅、延床面積は約96.75㎡(約29.26坪)であり、通常の指定容積率の約1.5倍の面積で建てられているのです。
 
ポイントは半地下部分です。
 
建築基準法第52条第3項では「(前文省略)延べ面積には、建築物の地階でその天井が地盤面からの高さ一メートル以下にあるものの住宅の用途に供する部分(共同住宅の共用の廊下又は階段の用に供する部分を除く。以下この項において同じ。)の床面積(当該床面積が当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の三分の一を超える場合においては、当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の三分の一)は、算入しないものとする」と規定されています。
 
ちょっと分かりにくいですよね。簡単に整理してみましょう。
 
Sa=指定容積率による延床面積の上限値
Sb=地下室がある場合の住宅の床面積
BS=地階の床面積
 
通常、住宅の床面積は、Sa となります。容積率で延床面積の上限が決まります。
地下室がある場合の住宅の床面積をSbとします。地下室の面積 BS=< Sb/3 であれば、延床面積にカウントしなくて良い、というのが第52条第3項の条文ですから、Sb-BS=<Sa が成り立つようにすれば良いわけです。
 
単純にするためにBS=Sb/3 Sb-BS=Saとすると、Sb-Sb/3=Sa です。
つまり、b×2/3=Sa ですから、Sb = 3/2 ×Sa という式が成り立ちます。
 
よって、地下室をつくることで、床面積を1.5倍まで増やすことができ、また、地下室の天井は、地盤面から高さ1mに設定できるため、一定の採光、通風が得られる地下室が実現できるのです。
当物件は、法律の利点を最大限に活用し、指定容積率以上の広さを合法的につくりだしているのです。
 
ということは、敷地が細分化されている東京の23区内は特に、どの住宅も地下を掘って、敷地に対する容積を最大限有効に活用したらよいではないか、と思いますよね。
 
しかし、地下室のある住宅というのは多くありません。なぜでしょうか?
 
理由は単純です。地下をつくろうとするとお金がかかるのです。一般的に地上での建築コストの1.2倍~1.5倍かかると言われています。
 
ましてや、当物件のように地下部分に水回りを設ければ、ポンプアップする排水設備が必要になりますし、居室は採光や通風などをしっかり確保しないと居住性は劣悪なものとなりますので、窓や通気口を設けなければいけません。仕上げ材に関しても地下駐車場のような打ち放しのコンクリートではありませんので、単純な地下室より相当割高になってしまうものです。
 
ならばやはり、敷地を大きく買って、地下室をつくらず建築コストは標準的な範囲で、希望の広さを叶えた住宅を建てられるのが良いと考えますよね。
 
が、しかし、土地の坪単価が高額なエリアでは、1坪大きく買うだけで、数百万円金額が上がってしまうのですから、10坪大きく買うのは大変なことです。
具体的に計算をして検証してみましょう。 
 
・地下を掘って工事費にお金をかけた場合
土地:24坪×@350万円=8400万円
建物:地上20坪×@100万円+地下10坪×150万円=3500万円
合計:12000万円
 
・同じ建物面積を確保するために1.5倍の広さの土地を買った場合
土地:36坪×@350万円=12600万円
建物:地上30坪×@100万円=3000万円
合計:15600万円
 
3000万円/15600万円 →20% お得 
つまり、土地の坪単価が高額なエリアでは、土地を広く買った方が総額は上がってしまうのです。
 
ということで、長々と解説してきましたが、かいつまんでものすごく単純にまとめると、当物件は、
 
「手間も時間も割高分の費用もかけずに買える、費用対効果の高い物件」
 
と言えるのです。