字面からはこれらの制度は、一見細分化を抑止する効果があるようにも見える。しかしここで禁じられ、あるいは優遇されていない分割が、「所有者本人による分割」に限定されていることには注意が必要である。
       一般市民の考えつく程度の分割はある意味適正なものであり、昨今の不動産市場で生じているような際限のない細切れ分割とは一線を画するものである場合が多い。
      制度的にこの良心的である可能性が残されている方の分割行為だけを事実上禁じるということは、その宅地がそのまま自動的に開発事業者に流れるということを意味し、その事業者が利潤のためだけに常識では考えられない細分化を悠々と実施するという仕組みを支援することになっている。

       ちなみに「(社)全国宅地建物取引業協会連合会平成16年度土地取引動向調査」によれば不動産購入者の実に約70%までもが予算3000万円以下に集中しており、5000万円以下で約85%を占めている。市場を眺めればこれに合わせた宅地の細分化が進行するのは当然のことであり、逆に言うと5000万円を超える規模の宅地はそのままでは非常に残りにくい状況にあるといえる。
       大きな庭をたたえた洋館建築やかつては大企業の創始者が所有した風情ある数寄屋造り建築や日本庭園がこれに該当するのである。いわゆる由緒正しいお屋敷こそが危ないのである。この際、その敷地と一体的に素晴らしい景観を作りだし、地域の緑地環境の保全にも一役買ってきた建物が邪魔者扱いされることは言うまでもない。

    (2) 老朽化建築物解体誘導型の制度・・「(土建業者のために)スクラップアンドビルドを推進せよ!」

    1. 登録免許税と不動産取得税(税制その3・4)
      • 所有権移転登記の登録免許税を 0.3%に減免(通常は1%を課税)
        *ただし築20年以内の家屋を購入した場合。時限立法(任意継続中)。
      • 不動産取得税を (建物評価額−各軽減額)×3%に減免(通常は軽減額なし)
        *ただし取得の日前20年以内に新築された住宅。時限立法(任意継続中)。
    2. 住宅ローン控除(税制その5)
      • 個人が住宅ローンを利用して住宅を取得した場合、居住を開始した年から10年間、利用した住宅ローンの年末残高を元に計算した一定額を所得税から控除できる仕組み。
      • 平成16年居住開始の場合の最大控除額は500万円。
        *ただし新築されてから20年以内の住宅。

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